第十四番札所 盛寿山 常楽寺
(せいじゅざん じょうらくじ)
電話 088-642-0471
距離 2.7km 標高差 ほぼ平坦
弘法大師がこの地で真言秘法を修行していると、多くの菩薩を従え化身した弥勒(みろく)菩薩が出現する。大師は忽ち感得して霊木に尊像を彫造。堂宇を建立し本尊として安置する。その後大師の甥にあたる真然僧正が金堂を建立し、続く祈親上人が講堂・三重塔を建立し七堂伽藍の大寺院となるが、天正の兵火により全て焼失。徳島藩主蜂須賀光隆が今の場所より下った谷間に再興する。弥勒菩薩を本尊とするのは四国霊場で唯一この常楽寺である。弥勒菩薩とは釈尊の入滅から五十六億七千年後にこの世に現れ、衆生を救うとされる未来仏である。お遍路さんの必需品である菅笠の正面には「ゆ」と発音する梵字が一文字書かれているが、この梵字は弥勒菩薩を意味する。また、この梵字は弘法大師を表すと言われており、それは大師の遺告の一節に「吾れ閉眼の後、兜率天に往生し弥勒慈尊の御前に待すべし。五十六億余の後、必ず慈尊と御共に下生し、吾が先跡を問うべし」とあることに由来する。巡錫の折、糖尿病に悩む老翁を見た大師は持参の霊木を削って飲ませ加持したところ、病は忽ち治癒した。その霊木を大地に挿したのが元の境内にあったアララギの大木で、今の境内にある大木はそれが飛種したもの。幹には「アララギ大師」が祀られ、糖尿病と眼病の平癒に霊験がある。境内は固くゴツゴツした自然の岩盤の上にあり、その形状から「流水岩の庭園」と呼ばれる。御詠歌にも「常楽の岸」と読まれ、一度見たら忘れない独特の光景である。四国霊場で唯一、社会福祉施設を寺が運営している。山門のないお寺で、納経所にいる猫が参拝者をなごませる。
御詠歌 常楽の岸にはいつか至らまし 弘誓の船に乗りおくれずば
御本尊 弥勒菩薩
御真言 おん まい たれいや そわか