ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

阿波の関所寺 徳島県小松島市「立江寺」(その21)

第十九番札所 橋池山  立江寺

(きょうちざん  たつえじ)

住所 小松島市立江町若松13

電話 0885-37-1019

恩山寺から立江寺まで

距離  4.5km 標高差  +11m  -73m

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恩山寺から立江寺まで

聖武天皇勅願寺行基光明皇后の安産を願い、一寸八分の延命地蔵を刻んで本尊とし堂宇を建立する。弘法大師巡錫の際、この小さな本尊を見た大師は後世失われる恐れがあるとし、自ら六尺ほどの延命地蔵像を彫り、胎内に行基作の本尊を納める。その際に寺名を現在のものへと改めたことから、以後「子安の地蔵尊」「立江の地蔵さん」と親しまれ安産祈願の寺となる。当時は現在地より山寄りの景勝地にあり、七堂伽藍を備えた巨刹であった。その後天正の兵火に遭うが、本尊は無事に残る。江戸時代に現在地に移転され再興されるが、昭和四十九年に再び出火。ここでも本尊は無事運び出されたという。昭和五十二年に再建された本堂には東京藝術大学の教授らが花鳥風月を描いた格天井画があり、観音堂の天井絵とともに昭和の日本画を代表する作品とされている。寺宝の絹本著色釈迦三尊像は、中央に釈迦如来、脇侍として左に普賢菩薩、右に文殊菩薩を描く。温和な大和絵風の描法などから鎌倉時代の作とされる。四国八十八霊場には、各県に弘法大師の審判を受ける「関所寺」が設けられ、邪心のある者や罪人はそれより先に進めないという。阿波の関所寺はこの立江寺で、四国の総関所として八十八箇所の根本道場ともされている。江戸時代に夫を殺して男と逃亡するお京という女がこの立江寺に参った折、突如としてお京の髪が逆立ち、毛が鐘の緒に巻き付きどうしても離れない。慌てた男が救いを求め、院主に事の次第を懺悔したところ、お京の髪は肉もろとも剥ぎ取られ、無残な姿になってしまった。二人はその後、近くに草庵を建て亡夫の霊を弔い果てたといい、その時の鐘の緒は大師堂横の黒髪堂に安置されている。寺の副住職曰く「宗教に奇蹟はつきもの」とのこと。寺の近くの立江川にかかる橋に白鷺がいるときは、その橋を渡ってはならないとの言い伝えがある。行基が寺の建立場所を探した際に由来するもので、無理に渡ると災厄が降りかかるという。お寺は立江の集落の中に埋もれたようにあるため、入り口を見失うとグルっと遠回りしてしまう。門前の通りに数件ある和菓子屋では「名物たつえ餅」や薄皮饅頭が売られている。小さな町の割にはお菓子屋さんが多く、こうしたお店は寺とともに永く栄えてほしいと思う。

御詠歌 いつかさて西のすまいのわが立江 弘誓の舟に乗りていたらむ

御本尊 延命地蔵菩薩

真言 おん  かからび  さんまえい  そわか

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