ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

西の高野山 徳島県阿南市「太龍寺」(その24)

第二十一番札所 舎心山  太龍寺

(しゃしんざん  たいりゅうじ)

住所 阿南市加茂町龍山2

電話 0884-62-2021

慈眼寺から太龍寺まで

距離  26.4km 標高差  +389m   -886m

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慈眼寺から太龍寺まで

延暦十二年(793年)に桓武天皇の勅願により阿波の国司が堂宇が建立。弘法大師虚空蔵菩薩をはじめ諸仏を刻み開基する。大師が二十四歳の時に記した「三教指帰」によると、十九歳の頃、境内の奥にある「舎心嶽」という岩山で百日間の虚空蔵求聞持法を修行した。虚空蔵求聞持法とは虚空蔵菩薩真言を一日一万回、百日間唱える難業で、この修業が大師の思想形成に大きく影響したと言われる。山号は修行地の舎心嶽から、寺名は修行中の大師を守護した大龍(龍神)にちなんでいる。皇室や武家の尊信が厚く、平安時代後期には十二の子院を持つほど栄えていたが、天正の兵火に遭い、江戸時代にも何度か罹災しては藩主の保護の下再興している。戦後も山中の山寺故に困窮の時代が続き、車利用でも三十分の徒歩を余儀なくする難所中の難所であったが、平成四年に太龍寺ロープウェイが開通し容易に参拝できるようになる。舎心嶽は今は舎心ヵ嶽と呼ばれ、寺の奥の院になっている。境内から十五分程度の場所で、岩上にブロンズ製の求聞持修業大師像が東向きに坐っている。山門の金剛力士像は鎌倉時代の作品で、徳島県内で最大にして最古のもの。太子堂には「竹林の七賢人」などさまざまな伝説の彫刻がある。太竜寺山弥山(標高600m)の山頂近くに立つ太龍寺は、大師堂が御廟の橋・拝殿・御廟と高野山奥の院と同じ配置であることから「西の高野山」と呼ばれる。境内には樹齢数百年の杉や檜が立ち並び、山岳霊場の雰囲気が鬱蒼と漂う。境内からは鶴林寺が同じ高さで見え、その両側に阿波の山々が綿々と連なる。標高が同じ程度の山であっても、本州の山から眺める風景と異なる趣を感じるのは、四国霊場である所以か。ロープウェイは西日本最長の2,775m、こちらからは那珂川や剣山の大パノラマを楽しむことができるので、ゆっくりと味わいたい。

御詠歌 太龍の常にすむぞやげに岩屋 舎心聞持は守護のためなり

御本尊 虚空菩薩像

真言 のうぼう  あきゃしゃらばや  おん  ありきゃまり  ぼそわか

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