ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

車遍路にとって四国最大の難所 天を突く奇峰がそびえるお寺 愛媛県久万高原町「岩屋寺」(その53)

第四十五番札所 海岸山  岩屋寺

(かいがんざん  いわやじ )

住所 上浮穴郡久万高原町七鳥1468

電話 0892-57-0417

大宝寺から岩屋寺まで

距離  10.6km 標高差  +234m  -140m

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大宝寺から岩屋寺まで

弘法大師がこの地を巡錫したのは弘仁六年(815)のこと。山には法華仙人と称する土佐の女性が岩窟に籠り、法華三昧を成就。空中を自在に飛行できる神通力を身につけていたが、大師の修法に篤く帰依し全山を献上する。大師は木造と石造の不動明王像を刻み、木像は本尊として本堂に安置。石像は奥の院秘仏として岩窟に祀り、全山をご本尊の不動明王として護摩修法を行う。山号の「海岸山」は空海の歌「山高き谷の朝霧海に似て松吹く風を波にたとえむ」に由来する。谷を埋め尽くす朝霧の流れに風の音が響き合う様子が、あたかも岸に打ち寄せる波に似ていると感じたのであろう。鎌倉時代の中期に一遍上人がこの古刹で参籠・修行したことが「一遍聖絵」に描かれている。十三世紀末頃まではこれらの不動尊像をはじめ、護摩炉壇、仙人堂、四十九院の岩屋、三十三の霊窟が残っていたと伝わる。往時の寺は四十四番大寶寺の奥の院とされていたが、明治七年に一代目の住職が晋山する。明治三十一年に仁王門と虚空蔵堂を残し全山を焼失するが、大正九年に大師堂、昭和二年に本堂が再建される。本堂より大きい大師堂は伝統的仏堂建築に西洋建築を取り入れた近代和風建築の代表作で、国の重要文化財に指定。霊水が湧き出るお水供養所は「穴禅定」と呼ばれ、大師が掘ったとされる洞窟である。中にはかなえる不動・地蔵尊弘法大師の石像が祀られている。寺がある岩山の頂きには行場があり、「迫割(せりわり)禅定」と呼ばれる。鎖によじ登りようやくたどり着く修行の場である。寺の七鳥という地名は、大師修行の頃、三宝鳥(仏法僧)や慈悲心鳥など七種類の霊鳥が住んでいたとの伝説による。天を突く奇峰がそびえる中、巨岩の中腹に埋め込まれるようにたたずむ堂宇の姿は典型的な山岳霊場そのもの。売店が並ぶ参道を抜け、鬱蒼とした杉林の間の縫うように15分ほどかけて登っていくと、ようやく納経所が見えてくる。車遍路にとってこの寺は四国霊場のうち最大の難所で、足の弱いお遍路さんが途中で休む姿が目につく。更に登り続けると突然天空が開け、むき出しの岩山が目に飛び込んでくる。仙人が暮らしたとされる神境だけあって、寺周辺にはイヨクジャクやイワヤシダ、イワヤスゲなど珍しい草木が生育している。本堂脇の梯子を使って巨岩の穴に入れるので、ぜひ仙人気分を味わいたい。

御詠歌 大聖のいのる力のげに岩屋 石のなかにも極楽ぞある

御本尊 不動明王

真言 のうまく  さんまんだ  ばざらだん  せんだ  まかろしゃだ  そわたや  うんたらた   かんまん

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