ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

可愛い猫が出迎えてくれるお寺 愛媛県松山市「八坂寺」(その55)

第四十七番札所 熊野山  八坂寺

(くまのざん  やさかじ)

住所 松山市浄瑠璃町八坂773

電話 089-963-0271

浄瑠璃寺から八坂寺まで

距離  0.9km 標高差  ほぼ平坦

f:id:sikimidaigarden:20210704053106p:plain

浄瑠璃寺から八坂寺まで

縁起によると修験道の開祖・役行者小角が開基したと伝わる。大宝元年(701)に文武天皇の勅願により伊予の国司越智玉興公が堂塔を建立。八箇所の坂道を切り開いて創建し、益々栄える「いやさか(八坂)」にも由来することからこれを寺名とする。弘法大師がこの寺で修法したのは百余年後の弘仁六年(815)のこと。荒廃した寺を再興して霊場と定める。本尊の阿弥陀如来坐像は浄土教の論理的な基礎を築いた平安中期の名僧恵心僧都源信の作と伝わる。その後、紀州から熊野権現の分霊や十二社権現を奉祀して修験道の根本道場となり、「熊野八坂寺」とも呼ばれるようになる。往時は境内に十二坊、末寺が四十八ヶ寺と隆盛を極め、僧兵を抱えるほど栄えるが、天正年間の兵火で焼失したのが皮切りとなり再興と火災が重なる。末寺がほぼ途絶え、寺域も縮小の一途を辿ることとなり、現在の境内はかつて熊野大権現と十二社権現が祀られていた宮跡である。本堂と大師堂の間に焔魔堂が配置され、その両側には「極楽の途」「地獄の途」がある。極楽には美しい浄土が、地獄には餓鬼道、畜生道修羅道が描かれており、どちらを行くかは自身で決める。納経所では「極楽往生通行手形」を授かることが出来る。本堂に登る石段の下から十段目の左に「救いの手」がある。九難を去る救いの手とされ、足や目の病に効験あると伝わる。庫裏前の庭園にある宝篋(ほうきょう)印塔は鎌倉時代の石造層塔。山門は小川に架かる橋の上に造られており、天井には阿弥陀如来像と天女が描かれている。橋の上なので杖をつかないようにしたい。不動明王像(いやさか不動)は平成十七年に建立。毎年四月に全国より修験者が集まり、柴燈大護摩供火生三昧火渡り修行を行う。燃え盛る芝火の上を裸足で渡る荒行であり、寺が修験道の加持祈祷が行われていたことによる。本堂はコンクリート造りでいささか味気ないが、狭い敷地にある寺はコンパクトにまとまっており何故か心地良い。山門では可愛い猫が迎えてくれる。寺は浄瑠璃寺から目と鼻の先にあり、参拝後は火渡り修行の跡を見るとよい。

御詠歌 花を見て歌詠む人は八坂寺 三仏じょうの縁とこそきけ

御本尊 阿弥陀如来

真言 おん  あみりた  ていぜい  からうん

f:id:sikimidaigarden:20210704053222j:plain

f:id:sikimidaigarden:20210704053246j:plain