ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

海上安全祈願のお寺 愛媛県今治市「栄福寺」(その66)

第五十七番札所 府頭山  栄福寺

(ふとうざん  えいふくじ)

住所 今治市玉川町八幡甲200

電話 0898-55-2432

泰山寺から栄福寺まで

距離  3.1km 標高差  ほぼ平坦

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泰山寺から栄福寺まで

嵯峨天皇の勅願により弘法大師がこの地を巡教したのは弘仁年間(810〜824)のこと。大師は瀬戸内海の風波による海難事故の平易を祈り、府頭山の山頂で護摩供を修法する。その満願の日に風波はおさまり、海上には阿弥陀如来の影向が漂う。この阿弥陀如来の尊像を府頭山頂に引き上げ堂宇を建て、本尊として安置したのが寺の創建とされる。大和大安寺の行教上人が宇佐八幡の霊告を受け、その分社を山城の男山八幡として創建するため、貞観元年(859)に近海を航行中、暴風雨に遭う。この地に漂着した上人は、府頭山の山容が山城の男山と似ており、本尊の阿弥陀如来八幡大菩薩本地仏らのでもあることから、境内に八幡明神を勧請して社殿を造営。神仏習合の勝岡八幡宮を創建したと伝わる。寺には江戸時代中期の寛政十二年(1800)に「八幡宮別当栄福寺」と記された古い納経帳が残されている。九州から巡礼に来た人の名で、約三箇月で四国霊場を一巡している。明治新政府神仏分離令により寺は旧地から山の中腹にある現在地に移転し、神社と寺がそれぞれ独立する。現在の大師堂も山頂にあった堂舎が移築されたものである。境内にある箱車は足の不自由な十五歳の少年のもの。犬に引かせて巡礼中、この寺で足が治り松葉杖とともに奉納したと伝わる。昭和八年の出来事であるが、以降寺は足腰守りの寺として信仰を集める。寺のトイレ設置は日本産業デザイン振興会主催の「2012年度グッドデザイン賞」を受賞。ヒノキの間伐材を用いた独自の工法が評価されたという。また、寺務所を兼ねた演仏堂も建築界からの評価が高く、寺のシンボルともなる。寺は山の中腹にあるが、集落を見下ろす程度のほど良い高さ。本堂と大師堂がすぐ近くにあり、境内はコンパクトな造りとなっている。柿がきれいに実り、趣のある落ち着いた寺である。寺は2010年より独自のウェブサイト「山歌う」を開設。寺の歴史や建物、御守の説明、住職の紹介など幅広い情報が入手でき、興味深い内容となっている。

御詠歌 この世には弓矢を守る八幡なり 来世は人を救う弥陀仏

御本尊 阿弥陀如来

真言 おん  あみりた  ていせい  からうん

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