ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

弘法大師が住職を務めたお寺 香川県観音寺市「観音寺」(その85)

第六十九番札所 七宝山  観音寺

(しっぽうざん かんのんじ)

住所 観音寺市八幡町1-2-7

電話 0875-25-3871

神恵院から観音寺まで

距離  標高差  なし(同一境内内)

大宝三年(703)、日証上人が琴弾八幡宮を開創したのは前の札所・神恵院と同じであるが、このとき八幡宮の神宮寺として建立したのが寺の始まりで、当時は神宮寺宝光院と称していた。大同ニ年(807)、弘法大師は琴弾八幡宮本地仏である阿弥陀如来像を寺に奉納し、第七世住職として入山する。大師は、奈良の興福寺に倣って中金堂、東金堂、西金堂の様式で七堂伽藍を建立し、本尊となる聖観世音菩薩像を彫造して安置。さらに仏塔を建て、瑠璃・珊瑚・瑪瑙などの七宝を埋めて地鎮。山号寺名を「七宝山・観音寺」に改める。ちなみに日証上人は法相宗の高僧で、興福寺法相宗の総本山である。桓武天皇(在位781〜806)をはじめ三代の天皇の勅願所となり、また室町時代には足利尊氏の子・道尊大政大僧正が住職を四十五年間務めるなど、寺運は隆盛を誇る。本堂は金堂とも呼ばれ、室町時代の建築。国指定の重要文化財で、朱塗りの柱が色鮮やか。境内の宝物館には、平安〜鎌倉時代作の彫刻としては珍しい釈迦涅槃像や、鎌倉時代作で開基した日証上人を描いた琴弾宮絵縁起などが収蔵されている。本堂に「常州下妻庄…貞和三年…」と書かれた落書きが残る。南北朝時代(1347)のもので四国霊場最古の落書きとされる。庶民の間にこれほどまで古く遍路文化が根付いていたとは驚きである。境内にはCafe&遍路グッズ販売の店「梧桐庵」があり、昼食には精進うどんがお勧め。甘味の種類が豊富なのも特徴で、ロードバイクの栄養補給に最適。12月に参拝した際には境内で色鮮やかな熊手を売っていた。大晦日の夜には縁起物の大熊手を数量限定で販売するとのこと。熊手は毎年11月に神社の「酉の市」で販売されるが、寺で熊手を売るのは珍しい。日本には神仏習合の慣わしが未だ色々な形で残されており、何故かほっとする。一つの納経所でニ寺参拝でき、甘味も楽しめるとは一度に三度美味しいお参りである。

御詠歌 観音の大悲の力強ければ おもき罪をも引きあげてたべ

御本尊 聖観音

真言 おん  あろりきゃ  そわか