ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

土佐の親知らずに立つ往来安全を願うお寺 高知県須崎市「大善寺」(その41)

別格第五番札所 高野山  大善寺

(こうやさん  だいぜんじ)

住所 須崎市西町1-2-1

電話 0889-42-0800

青龍寺から大善寺まで

距離  25.7km 標高差  +122m  -127m

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青龍寺から大善寺まで

弘法大師が四国を巡錫していた頃、須崎の海は今より広大で、大師堂が現在ある地は海に突き出た岬となっていた。岬の先端には「波の二ツ石」と呼ばれる二つの巨石があり、旅人は潮が引いた時には二ツ石の先を廻って往来した。しかしこの地は「土佐の親しらず」と呼ばれるほどの海の難所で、荒い波にさらわれ多くの者が命を落とし、また、同地は伊予石鎚山の末端に当たるとされ身に不浄ある者は怪異に出会うと恐れられていた。弘仁六年(815)にこの地を訪れた大師は、海岸に立つ大岩の上で海難で命を落とした者の菩提を弔い、海上・陸上の往来安全を祈願する。これが寺の大師堂開基の起源であり「二ツ石大師」と呼ばれるようになる。寺は「八幡山明星院大善寺」といい奈良の長谷寺池坊の末寺であった。当時は古市町にあったが、宝永の大地震(1707)の津波で流亡、古城山の麓に再建される。明治の廃仏毀釈で廃寺となるが、明治29年に大師の霊跡を惜しむ里人の手で再興され現在地に移転、山号高野山とする。二つの巨石は長年の荒波に打たれ磯になり丘になり、昭和初期の防潮堤建造によって今はその姿を留めていない。本尊の阿弥陀如来は恵信作だが、現在は所在不明。平成12年に復刻された像が祀られている。大師堂も平成14年築と新しく、向かいにある創業120年を越える柳家旅館と対照的。大師堂の横から急坂を登ると途中に修行大師像が立ち、須崎の街並みを見下ろす。本堂がある高台は狭いが、須崎湾が一望でき爽快。鐘の向こうに太平洋が見える鐘楼は珍しい。足腰の弱い参拝者のため小さなモノレールが設置されている。納経所は大師堂から少し離れた信徒会館の中にあり、少々分かりづらい。大師秘伝の祈祷を施した吉祥塩を販売している。青龍寺からは大善寺までは、ロードバイクではアップダウンの少ない内之浦湾沿いのコースが、スーパーカブでは絶景が楽しめる無料の横浪黒潮スカイラインがお勧め。高校野球の強豪、明徳義塾の生徒を乗せたマイクロバスが時折すれ違う。

御詠歌 みな人の善を須崎の高野寺 波の音さえ法の声かな

御本尊 弘法大師

真言 なむ  だいし  へんじょう  こんごう

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