ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

八つの焼き栗が芽吹き生長繁茂したお寺 香川県高松市「八栗寺」(その104)

第八十五番札所 五剣山  八栗寺

(ごけんざん  やくりじ)

住所 高松市牟礼丁牟礼3416

電話 087-845−9603

屋島寺から八栗寺まで

距離  9.7km 標高差  +281m  -336m

屋島寺から八栗寺まで

天長六年(829)、若き弘法大師が五剣山に登り虚空蔵求聞持法を修めると、五本の剣が天から振り注ぎ、山の鎮守である蔵王権現が現れる。蔵王権現は「この山は仏教相応の霊地なり」と告げたため、大師はそれらの剣を山中に埋めて鎮護とし、大日如来像を刻んで五剣山と名付ける。当時の山の頂きからは、讃岐、阿波、備前など四方八国が見渡すことができたため、寺名は八国寺と称したという。 延暦年代(782〜806)、大師は唐に留学する前に再びこの山に登り、入唐求法の成否を占うため八個の焼き栗を植える。無事帰国して大同三年(808)に再び寺を訪れると、芽の出るはずない焼き栗が芽吹き、生長繁茂していたことから、大師は寺名を八栗寺へと改称する。天正の兵火で堂宇は焼失するが、江戸時代に無辺上人が本堂を再建する。その後、高松藩主の松平頼重が現在の本堂を建立し、大師作の聖観自在菩薩を本尊として安置する。本堂の横に建つ聖天堂には、木喰以空上人が後水尾天皇皇后から賜った歓喜天が祀られている。商売繁盛や学業成就、縁結びにご利益があると言われ、地元からは「八栗の聖天さん」として親しまれている。本堂後方の中将坊堂に祀られている中将坊は、さぬき三大天狗の一人。中将坊は夜に山から下りてきて、民衆のために良いことをして朝帰ると伝わる。中将坊堂の脇に下駄を奉納し、翌日下駄が汚れていれば中将坊が働いてくれた印だという。納経所から少し降りると展望台があり、お迎え大師の石像が鎮座している。屋島高松市内が一望でき、夜景のスポットとしても有名。寺は屋島の東、源平の古戦場を挟んだ標高375mの五剣山の山腹にある。五剣山は地上から剣を突き上げたような神秘的な様相を示すが、高級墓石材として有名な庵治石(あじいし)の一大産地でもある。寺へはレトロなケーブルカーでも行けるが、地元車は県道八栗原線を登ってくる。道は意外と整備されており、距離も程よい程度なのでスーパーカブでは楽勝なコース。国道まで降りずに並走する地元道を走れば、車も少なく快適だが、登り口を間違えないよう注意が必要。県庁所在地である高松市の寺もこれでお終い。これまでは県内東向きに寺を進んできたが、いよいよ結願を目指して南下することとなる。

御詠歌 煩悩を胸の智火にて八栗をば 修行者ならでたれか知るべき

御本尊 聖観音

真言 おん  あろりきゃ  そわか