ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

空飛ぶ人食い怪獣牛鬼を退治したお寺 香川県高松市「根来寺」(その100)

第八十ニ番札所 青峰山  根来寺

(あおみねさん  ねごろじ)

住所 高松市中山町1506

電話 087-881-3329

白峯寺から根来寺まで

距離  15.3km 標高差  +437m  -330m

白峯寺から根来寺まで

寺伝によると、弘仁年間(810〜824)にこの地を訪ね、五色台の五つの峰に金剛界曼荼羅五智如来を感得した弘法大師は、密教修行の場として青峰に「花蔵院」を建立し、五大明王を祀ったとされる。天長九年(832)、大師の甥にあたる智証大師が花蔵院を訪れると、山の鎮守である一之瀬明神に出会い、「この地にある毘沙門谷、蓮華谷、後夜谷に道場を作り、蓮華谷の木で観音像を作りなさい」とお告げを受ける。智証大師は蓮華谷の木で千手観音像を彫造し、「千手院」を建て安置する。この霊木の切り株から芳香が放ち続けられたことから、智証大師は「花蔵院」「千手院」を総称して根香寺と名づける。寺は後白河天皇の帰依も厚く、勅願所となって隆盛を極めるが、度重なる兵火で衰退。江戸時代に高松藩主により再興され、併せて天台宗へと改宗される。寺には牛鬼伝説が残る。青峰山には昔、人間を食べる恐ろしい怪獣、牛鬼が棲んでいた。牛鬼は牛の如く角が生え、目は大きく爛々と輝き、手足には大きな爪、コウモリのように大きな羽根を持ち空を自在に飛んだという。村人に頼まれた弓の名人である山田蔵人高清が退治しようとしたが、山へ入れどなかなか牛鬼が現れない。そこで高清は根香寺の本尊に願をかけると、二十一日目の満願の暁に牛鬼が現れ、口の中に高清が放った矢が見事に命中したという。高清は牛鬼の角を切り落として寺に奉納。寺にはその時の角と牛鬼の姿が描かれた掛け軸が伝わり、牛鬼の絵柄は魔よけのお守りとなる。境内にある五大堂には、弘法大師の開基ゆかりの五大明王不動明王、降三世夜王、軍茶利明王大威徳明王金剛夜叉明王)の像がある。像の中心は不動明王で、藩主松平頼重が「霊験あれば示し給え」と祈念したところ立ち上がったとの伝説が残る。山門近くの茂みの中には牛鬼の像があり、鬼気迫る面持ちで立っている。また、山岳霊場らしく、山門をくぐった所には修験道の祖、役行者の像がある。境内の脇には白猴欅(はっこうけやき)という珍しい名の木の幹が保存されている。樹齢千六百年とも言われるケヤキの老木で、名の由来は智証大師が寺院創建の折、この樹を伝って下りてきた白い猿が大師を手助けしたとの伝説による。本堂の前は凹字型の回廊となっており、信者が奉納した約三万三千体の万体観音像が並んでいる。また、傍にははらくわり地蔵があり、周辺の木を伐採するとお腹が痛くなるという言い伝えが残されている。山門から本堂へは一直線の階段を一旦下って登ることとなり、印象に残る参道である。紅葉の名所でもあり、その時期には観光客がどっと押し寄せるとのこと。寺は五色台に立ち、五大堂がある。地、水、火、風、空の五つは万物を構成する要素で「五大」と呼ばれる。仏教ではこの五という数字は特別な意味を持ち、五台山や剣五山、五岳山、五剣山など五のつく山号が多く見られる。寺は五色台スカイライン(無料)の入口近くにあるので、せっかくだから回り道してみるのもお勧め。スカイラインからは眼下に瀬戸内海をはじめ、海に浮かぶ大槌島、小槌島などの多島美や瀬戸大橋を眺望することが出来る。途中には休憩スポットを兼ねた展望所が幾つか設置されているので、スマホでの写真撮影を楽しみたい。

御詠歌 宵のまの妙ふる霜の消えぬれば あとこそ鉦の勤行の声

御本尊 千手観音

真言 おん  ばさら  たらま  きりく  そわか