ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

四国唯一 人も動物も一緒に祈祷するお寺 愛媛金宇和島市「佛木寺」(その48)

第四十ニ番札所 一カ山  仏木寺

(いっかざん  ぶつもくじ)

住所 宇和島市三間町則1683

電話 0895-58-2216

龍光院から仏木寺まで

距離  3.5km 標高差  ほぼ平坦

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龍光寺から仏木寺まで

大同ニ年(807)弘法大師はこの地で牛を引く老人と出会う。誘われるまま牛の背に乗って歩むと、楠の大樹の梢に一つの宝珠がかかり、光を放っているのを目にする。よく見ると、これは大師が唐から帰朝する際に「有縁の地」が選ばれるよう三鈷とともに東方に向け投げた宝珠であった。この地こそ霊地であると感得した大師は堂宇を建立し、一カ山仏木寺山号寺名を授ける。自ら楠で大日如来像を彫造し、眉間に宝珠を埋めて白毫とする。これを本尊として安置し、草字体で書写した般若心経と華厳経を奉納する。鎌倉時代には宇和島領主西園寺家の祈祷、菩提寺となり隆盛を誇る。大師像には「奉造営弘法大師御影像 正和四年(1315)十月五日御開眼」という墨書の胎内銘が入り、銘入りの大師像としては日本最古とされる。戦国時代には戦乱に災いされるが、本堂は享保十三年(1728)に吉田藩主伊達村賢が再建する。本尊の大日如来坐像は建治元年(1275)作。宝冠を頂き智拳印を結ぶ金剛界大日如来で、背面に大ぶりの円形光背がある。境内には霊場の中では珍しく家畜堂があり、善畜供養の旗が両脇に立つ。冒頭の大師伝説に由来するもので、寺は牛馬や家畜の守り仏としても信仰を集める。ミニチュアの牛や馬の草鞋をはじめ、牛馬の陶磁器、扁額などが所せましと奉納されている。近隣の農家では、田植えが終わったころに参拝に行き、牛馬の守護札を受け畜舎の柱に貼っていたという。往時は農耕をともにした家畜の安全を祈願していたが、最近ではペットの写真なども奉納されている。七月の丑の日に寺では「瓜(うり)封じ」の供養が盛大に行われる。家畜堂に添えられたキュウリに人間や牛馬の病を封じ込めるもので、人も動物も草木も命あるものは「皆平等」という大師の教えに従っている。この日は遠く離れた宇和島市街の八百屋のキュウリまでが、全て姿を消すほどであったという。寺で祈祷されたキュウリは川に流し、病魔追放を願うという素朴な民間信仰である。山門には瑞気(ずいき)の門と書かれたおめでたい横額が頭上にかかり、石段を登ると美しい茅葺きの鐘楼が目に飛び込んでくる。寺は県道のすぐ横手にあり、龍光寺からもすぐの距離。周囲はため池が多く見られ、のどかな中山間の風景が広がる。南予の優しい日差しをじっくりと楽しみたい。

御詠歌 草も木も仏になれる仏木寺 なお頼もしき鬼畜人天

御本尊 大日如来

真言 おん  あびらうんけん  ばざらだどばん

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