ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

縁結びのお寺 徳島県上坂町「大山寺」(その6)

別格第一番札所 仏王山  大山寺

(ぶつおうざん  たいさんじ)

住所 板野郡上板町神宅字大山

電話 099-694-5525

地蔵寺から大山寺まで

距離  7.6km 標高差  +450m  -19m

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地蔵寺から大山寺まで

古墳時代の末期、西暦五百年頃に西範僧都(せいはんぞうず)が開基。阿波国最初の仏法道場である。教科書で習った仏教伝来(538)より早く、ロマンの漂う開創縁起である。弘法大師が立ち寄ったのが平安時代前期、西方笹原にあった寺を現在地に移転し、長安青竜寺恵果大阿から授かった先手観世音を本尊として安置する。密教道場に最適の場所として山号を仏王山、印度の須弥山にちなみ寺名を大山寺へと改める。寿永三年(1184)源義経が平家討伐の折に当寺に立ち寄り、必勝祈願する。勝利のあと義経三宝荒神像と初音のつつみ、愛馬薄雪(はくせつ)を寄進し、髪懸(びんかけ)堂一宇を建立する。承久の乱で土佐に流され、のちに阿波に移された土御門上皇が元仁元年(1224)に寺を参拝。護摩堂を建立して不動明王像を奉納する。戦国時代には七条兼仲という近隣の武将が大山寺に祈願したところ、怪力を得たことから礼として九重の石塔と鏡餅を奉納する。江戸時代には、この伝説にちなみ、蜂須賀家が家臣に鏡餅を担がせ力自慢を競わせたという。こうした伝統を受け継ぎ、大山寺では力餅を抱えて距離を競う行事が毎年一月に行われている。寺は「縁結びのお寺」としても有名で、縁結び祈願祭が毎年春に開催されている。石段下にある大杉は縁結びを祈願して植栽されたものだが、こうした理由で杉を植栽するのは全国でも珍しい。境内には源義経の愛馬薄雪の墓と伝えられる五輪塔と銅馬がある。縁起にちなんで毎年、初会式には近郷の馬が多く集まったという。寺は牛馬の守護にご利益があるとされ、境内の歌碑には「売られゆく牛は気配に聡くして 手綱持つ手を舐めて動かず(健二)」とある。室町期の作と伝えられる仁王像が睨む山門は古く、古色蒼然と構える。別格札所の山門は総じて古いものが多く、風雨に晒され木の朽ちる様子が何とも言えぬ味わいを醸し出す。寺は香川県との県境にある大山(標高691m)の中腹にある。四国お遍路を順打ちすると最初に出会う山寺は十番切幡寺であるが、別格二十寺を加えるこの大山寺が最初となる。狭くて急な山道を登るが、スーパーカブならご機嫌。エンジン全開でグイグイと高度を稼いてくれる。別格第一番の札所のため、別格二十寺用の白衣や朱印帳などは寺の納経所で揃えればよい。

御詠歌 さしもぐさたのむちかひは大山の 松にも法の花やさくらむ

御本尊 千手観音

真言 おん  ばさら  たらま  きりく

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