ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

温泉が湧き出るお寺 徳島県上坂町「安楽寺」(その7)

第六番札所 温泉山  安楽寺

(おんせんざん  あんらくじ)

住所 板野郡上板町引野8

電話 088-694-2046

大山寺から安楽寺まで

距離  8.1km 標高差  +16m  -445m

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大山寺から安楽寺まで

弘仁六年(815)四国巡錫中の弘法大師は、現在地より2kmほど離れた安楽寺谷が病魔から人々を救う「薬師如来ゆかりの地」であると感じ取り、薬師如来を刻み寺を創建する。往時は温泉湯治の場として栄えるが、長宗我部の兵火にかかり焼失、万治年間(1658〜1661)に現在地にあった瑞運寺を併合して寺が再建される。藩政時代には山門に蜂須賀家の家紋が入った雪洞の使用が許され、寺は殺生禁断の地となる。本尊の薬師如来坐像は昭和37年に愛知の信者が難病快癒の報恩により奉納したもの。寺の住職の勧めで四国巡礼を続ける途中、難病の脊椎カリエスが平癒。元気な姿で結願したという。一尺三寸の古来の本尊が胎内仏として坐像に納められている。薬師如来は心と体の病を直し、長寿や財をもたらす仏様。脇侍として日光、月光の両菩薩を配し薬師三尊となる。日光菩薩は光と温かさで生命を育て病魔を焼き払い、月光菩薩は光と涼しさで安らぎを与え苦熱を取り除くとされる。境内の松の下で大師が修行中、猟師が猪と見誤り矢を放ったが、不思議と風もないのに松の枝がなびいて矢を受け止める。これを見た大師は折れた枝を逆さに植え「この松が芽を出し栄えることがあれば、この地を訪れたものは災厄を免れるだろう」と言い残す。この松は「厄除けのさか松」と呼ばれ、二代目が大師堂の右前に植えられている。寺の各御堂には、運慶・快慶の流れをくむ慶派の京都大仏師・松本明慶師が無名時代から彫り続けた仏像六十体が祀られている。大師堂の弘法大師像はじめ、愛染明王不動明王などである。性霊殿には胎蔵曼荼羅金剛界曼荼羅がかけられ、石の壁には「五筆和尚」と称された大師筆法の書が刻まれている。一番札所を早朝に出発した歩き遍路が、この安楽寺か次の十楽寺で夕刻を迎えるのは今も昔も同じ。蜂須賀公は安楽寺を駅路寺と定めて宿の提供を指示したといい、その記録は寺宝として残されている。寺は往古より温泉が湧き出る処で、元禄時代の古記録には「一の釜、二の釜、三の釜ありて鉄さび色の熱湯ほとばしる」と残されている。本堂右手にある宿坊は天然温泉の大浴場付きであり、入浴後の酒席は安楽そのもの。

御詠歌 かりの世に知行争うむやくなり 安楽国の守護をのぞめよ

御本尊 薬師如来(伝弘法大師作)

真言 おん  ころころ  せんだり  まとうぎ  そわか

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