ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

火を放つ大蛇を封じたお寺 徳島県神山町「焼山寺」(その13)

第十二番札所 摩盧山  焼山寺

(まろざん  しょうざんじ)

住所 名西郡神山町下分字中318

電話 088-677-0112

藤井寺から焼山寺まで

距離  24.7km 標高差  +1,215m  -579m

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藤井寺から焼山寺まで

大宝年間(701〜704)に役行者が山を開き、蔵王権現を祀ったのが寺の始まりとされるが、この寺には寺名にちなんだ奇異な伝説が残されている。昔この山一帯に神通力を持つ大蛇が棲み、村里に出ては火を吐き害を与えていた。この地を訪れ一本杉で夜を過ごした弘法大師は、翌朝目覚めると燎原の火の海を目にする。大師が身を清めて山に登ると大蛇は全山に火を放ち抵抗するが、大師が真言を唱え進むと山頂近くの岩窟で大蛇がついに姿を現す。大師は虚空蔵菩薩の加護を得て「摩盧(水輪の意)の印いん」を結び、更に祈願に専心したところ、大蛇を無事岩窟へと封じ込めることができ、三面大黒天を岩窟の上に安置する。そして大師は四尺五寸の虚空蔵菩薩を本尊として刻み、摩盧山焼山寺と名付ける。この岩窟は山頂にある奥の院への途上にあり、三面大黒天は本堂左のお堂に安置されている。奥の院には蔵王権現が祀られている。寺は鎌倉時代の後期に後醍醐天皇の勅願所となる。また足利尊氏は本寺を祈願所とし、江戸時代には徳島藩主蜂須賀家の帰依を受ける。参道に茂る焼山寺山スギ並木は樹高30メートル、幹周り4〜5mに達する巨木群で、県の天然記念物に指定されている。焼山寺からやや下った所に杖杉庵(じょうしんあん)という番外札所がある。この庵は四国遍路の元祖と言われる衛門三郎の終焉の地であり、大師が三郎が所持していた杉の杖を墓標として地面に立てたところ、杖から芽が出て大杉になったと伝わる。お遍路さんが必ず立ち寄る霊地である。焼山寺は八十八霊場の中で二番目に高いところにあり、藤井寺からの遍路道は「遍路ころがし」で有名。また阿波霊場三難所の一つでもあり「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と呼ばれる。大日寺へと下りておく参道には十株あまりの焼山寺山のフジの群生地があり、「垢離取(こりとり)の藤」と呼ばれる。お寺に向かう車道は狭く、対向車に出会うと車はバックを余儀なくされるが、スーパーカブはお構いなくエンジン全開でグイグイと登っていく。ただし下り坂は要注意で、特に路面に苔が生い茂るカーブは滑りやすくタイヤが流される。

御詠歌 後の世を思えば恭敬焼山寺 死出や三途の難所ありとも

御本尊 虚空蔵菩薩

真言 のうぼう  あきゃしゃ  きゃらばや  おん  ありきゃ  まりぼり  そわか

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