ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

さすらいの崇徳上皇ゆかりのお寺 香川県坂出市「天皇寺」(その97)

第七十九番札所 金華山  天皇寺

(きんかざん  てんのうじ)

住所 坂出市西庄町天皇1713−2

電話 0877-46−3508

郷照寺から天皇寺まで

距離  6.1km 標高差  ほぼ平坦

郷照寺から天皇寺まで

天平年間(729〜749)に四国巡錫のため当地を訪れた行基は、この山がカナヤマビメとカナヤマヒコの鎮座する山であると感得。山の中腹に薬師如来を本尊とする金山摩尼珠院を建て、山を金山と名付ける。この金山は四国で唯一、アルミニウムの鉱床があることで知られる。弘仁年間(810〜824)には弘法大師がこの地を訪ね、古くから霊泉と知られた八十場(やそば)のほとりに光放つ霊木を見つける。すると一人の天童が空中から現れ、閼伽井(あかい:水のこと)を汲み大師に給仕する。この天童は金山を鎮守する金山権現で、永くこの山の仏法を守護するようにと持っていた宝珠を大師に預ける。大師は霊木で十一面観音菩薩阿弥陀如来愛染明王の三像を刻み、堂宇に安置。宝珠を嶺に埋めて寺名を摩尼珠院妙成就寺と改める。その後、法元元年(1156)、保元の乱に破れ讃岐へと流された崇徳上皇が、末寺の長命寺を行宮とする。流刑の身である上皇は激しい憤りと悲嘆に沈まれ、その様子は「世を呪い御髪も御爪も切らせられずお目陥り悲しげなること天狗のごとし」と伝わる。上皇はこの地で崩御したため、上皇の霊を鎮めるため二条天皇崇徳天皇社を建立。寺は神宮寺(神社に附属する寺院)となり、別名天皇寺と呼ばれるようになる。明治に入ると崇徳院御霊は京都白峰宮へと戻され、上皇を祀ることのない崇徳天皇社は白峰宮へと改称される。また、廃仏毀釈により摩尼珠院は廃寺となるが、筆頭末寺の奇香山仏乗寺を引き継ぐ形で明治二十年に再興を果たし、寺名を天皇寺へと改める。寺には山門がなく、大きな鳥居の左右に小さな鳥居のついた珍しい三輪鳥居をくぐると、正面奥に白峰宮がある。その手前を左に行くと本堂と大師堂、右に行くと本坊と納経所がある。何も知らずに行くと「鳥居があるので、寺は別の場所では」と勘違いし易く、また、境内に入ってもどこが本堂かと最初は戸惑うが、標識どおりに進めば直ぐに見つかる。八十八霊場の中でも境内の狭さは一二を争うほどではないかと思えるほどで、奥の白峰宮を含めどことなく寂しさが漂う。寺はJR予讃線の線路を超え、小高い丘を登るとすぐの距離にある。寺の本尊の十一面観音は水を司る仏様。近くにある予讃線の駅の名は「八十場」。八十場とは「沢山の水が落ちるところ」という意味で、寺から500mほど行くと霊泉「八十蘇場の清水」と地蔵堂がある。今から二千年程前のこと、瀬戸内海に住む悪魚を退治した日本武尊ヤマトタケルノミコト)の部下八十八人が魚の毒気に当たって昏倒。そこへ神童が現れ、この地の水を飲ませたところ全員が正気に戻ったと伝わり、今では香川県の強力なパワースポット。清水屋名物のところてんも楽しめるので、暑い時期には是非立ち寄りたい。

御詠歌 十楽の浮世の中をたずねべし 天皇さえもさすらいぞある

御本尊 十一面観世音菩薩

真言 おん  まか  きゃろにきゃ  そわか