ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

太刀受けの弥陀(みだ)が守ったお寺 香川県三豊市「本山寺」(その86)

第七十番札所 七宝山  本山寺

(しっぽうざん もとやまじ)

住所 三豊市豊中町本山甲1445

電話 0875-62-2007

観音寺から本山寺まで

距離  5.0km 標高差  ほぼ平坦

観音寺から本山寺まで

大同ニ年(807)平城天皇の勅願により弘法大師が開基。大師は馬頭観世音菩薩像を本尊、阿弥陀如来薬師如来を脇侍として、一刀三礼で刻んだとされる。尊像を安置する本堂には、大師が一夜ほどの短期間にて建立したという「一夜建立」の伝説が残る。当時の寺名は「長福寺」であった。天正の兵火では諸堂を焼失するが、本堂と仁王門は焼かれずに残る。これは、長宗我部軍が本堂に侵入の際に住職を刃にかけたところ、脇仏の阿弥陀如来の右手から血が流れ落ち、これに驚いた軍勢が急ぎ退去したことによる。このことから、阿弥陀如来は「太刀受けの弥陀」と呼ばれるようになる。その後、江戸時代に入ると領主の生駒家と京極家により再興され、寺名は「本山寺」と改められる。本堂は本瓦葺きの寄木造りで重厚な建物。屋根の曲線が独特の美しさと風格を醸し出す。正安ニ年(1300年)の創建で、戦火を逃れて当時の姿を残している。外観は京都風、内部は奈良風の鎌倉時代の折衷様式の傑作で、国宝に指定。仁王門は和様・唐様・天竺様の三様式からなる山門で、全国でも珍しいという。どっしりとした構えの八脚門で、国の重要文化財に指定。寺のシンボルである五重塔はもとは大同四年(809)に造られたが、明治四十三年に再建。八十八霊場の中で五重塔があるのは本寺と竹林寺善通寺、志渡寺の四寺だけである。檜皮葺き屋根の鎮守堂は室町時代の様式を伝える小さな社。素朴な佇まいで、請雨秘法の霊神・善女龍王が祀られている。八十八霊場の中で馬頭観音を本尊とするのは本寺のみ。馬頭観音は人間の欲や怒り、悩みなどを無くすとされる観音様で、馬の保護神として江戸時代に信仰される。境内は2万㎡と広大で、松が点在するなか多くの堂宇が立ち並ぶ。観音寺からは川沿いを走るとじきに着くという、ロードバイクにとってちょうど良い距離感。本堂は香川県内の寺で唯一の国宝建築物なので、その美しさをじっくりと味わうのが良い。

御詠歌 本山に誰か植江ける花なれや 春こそたをれたむけにぞなる

御本尊 馬頭観音菩薩

真言 おん  あみりと  どはんば  うん  はった  そわか