第二十八番札所 法界山 大日寺
(ほうかいざん だいにちじ)
住所 香南市野市町母代寺476-1
電話 0887-56-0638
距離 37.4km 標高差 +116m -446m
天平年間(729〜749)聖武天皇の勅願により行基が大日如来坐像を彫造し、堂宇に安置して開創する。弘仁六年(815)には大師が境内から少し離れたところに立つ楠(クスノキ)に爪で薬師如来像を彫り、これを祀って荒廃した寺を復興させる。以後、七堂伽藍や末寺、脇坊が備わるなど隆盛を誇り、十七世紀初頭の慶長年間(1596〜1615)には土佐藩の祈願寺となって堂塔が整備される。明治新政府の神仏分離令により廃寺となるが、本尊は「大日堂」と改称した本堂に安置していたため救われ、明治十七年に再興される。廃仏毀釈では壊されたり売られたりする仏が多かったという。大日如来には金剛界と胎蔵界の二種類の像があるが、大日寺の本尊は金剛界のもの。高さ146cmの檜の寄木造で、四国では最大級。行基作と伝承されるが、技法等から平安時代作とも言われる。脇仏である智証大師作の聖観世音菩薩立像とともに、国の重要文化財に指定。大師が彫った薬師如来像は「爪彫(つめほり)薬師」と呼ばれ、奥の院とされる。耳や鼻、口など首から上の病気にご利益があるとされ、願いが叶うと穴の開いた石を奉納する習わしがある。奥の院には明治初年の台風で倒れた楠が霊木として安置されている。寺の境内から少し離れているが、趣きがあり是非訪れたい。奥の院の脇には土佐の名水として名高い「大師の御加持水」が湧き出ており、お遍路さんの喉を潤す。寺の近くにはごめん・なはり線の野市駅があり、大型ショッピングセンターやファーストフード店、コンビニが立ち並ぶ。久しぶりの喧騒にとまどうが、この辺りはかつては米の二期作で知られた穀倉地帯。ロードバイクはもとより、スーパーカブであってもトコトコと走らせれば、カラリと晴れた青空の下、土佐の街並みをゆっくり楽しむことが出来る。
御詠歌 露霜と罪を照らせる大日寺 などか歩みを運ばざらまし
御本尊 大日如来
御真言 おん ばざら だどばん