ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

七色の光を放つ善女のお寺 徳島県阿波市「切幡寺」(その11)

 

第十番札所 得度山  切幡寺

(とくどざん  きりはたじ)

住所 阿波市市場町切幡字観音129

電話 0883-36-3010

法輪寺から切幡寺まで

距離  4.3km 標高差  +137m  -9m

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法輪寺から切幡寺まで

寺号はハタ(布)を織る娘の物語から生まれる。この娘が生まれる前のこと、娘の父は無実の罪により島流しとなり、母は京の清水寺の観音様に願をかけると「四国に渡れば報いあり」とのお告げを受ける。娘を身籠る女は阿波に渡ったが出産後間もなく亡くなり、生まれた娘が成長しこの地でハタを織っていると、旅の僧が「衣が破れた」と布切れを所望する。娘は惜しげもなくハタを切り取り差し出すと、僧は「望みあればかなえる」と言う。娘が「亡き父母の菩提を弔うため観音様を作ってお祀りしたい」と頼むと、僧である弘法大師は千手観音を刻んで娘を得度させ、灌頂を施す。するとやがて娘は即身成仏して七色の光を放ち、千手観音菩薩へと変身する。大師はこのことを嵯峨天皇に伝え、天皇の勅願を授かり一寺を建立。自ら削った千手観音を南向きに、即身成仏した千手観音像を北向きに安置して本尊とする。こうして寺は「切幡寺」と呼ばれ、「女人即身成仏の寺」とされる。七色の光を放つ善女に憧れる女性からの信仰が篤い。境内には、はさみを右手に布を左手に持つ「はたきり観音」や、豊臣秀頼が秀吉の菩提を弔うために建立した大塔がある。大塔は二重塔で、二重目は円形とする塔が一般的だが、寺の大塔は二重目も方形で全国的にも珍しい。堂々たる構えは、江戸時代初期の寺院建築の様相をよく伝えている。山門から本堂までは三百三十三段の石段で、途中には女厄坂、男厄坂と呼ばれる急坂がある。観音寺山の中腹にある境内からは吉野川四国山脈の山々が遠望でき、これまでの疲れも一気に吹き飛ぶ。十里十箇所目に山寺を配置するとは、四国巡礼は実によく出来ている。

御詠歌 欲心をただ一筋に切幡寺 後の世までの障りとぞなる

御本尊 先手観世音菩薩

真言 おん  ばざら  たらま  きりく

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