ロードバイクとスーパーカブで巡る四国八十八霊場と別格二十霊場

ロードバイクとスーパーカブで巡った108の霊場を順次ご紹介します。ブログの前半は寺の歴史と堅い文章が続きますが、後半は寺の見どころやご利益、寺へのアクセスや雑感などを書いてみました。🚲🛵

天狗伝説が残るお寺 高知県室戸市「金剛頂寺」(その30)

第二十六番札所 龍頭山  金剛頂寺

(りゅうずざん  こんごうちょうじ)

住所 室戸市元乙523

電話 0877-23-0026

津照寺から金剛頂寺まで

距離  5.0km 標高差  +136m  -4m

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津照寺から金剛頂寺まで

御詠歌にあるよう寺は「西寺」と呼ばれる。大同二年(807)平城天皇の勅願により大師が薬師如来坐像を刻み本尊とする。大師が唐から帰朝した翌年であり、大師にとって最初の勅願寺の建立となる。この坐像は、完成すると自ら立って厨子に入ったと伝えられ、開基以来永く秘仏とされてきた。大師が修業していた頃の当地は魔性の物の往来が激しく、大師との問答に破れた天狗は足摺岬の西方彼方へと駆逐されたと伝わる。創建の頃は「金剛定寺」と呼ばれる女人禁制の寺で、婦女子は少し離れた行当岬の不動堂に札を納め遥拝していた。嵯峨天皇が「金剛頂寺」とする勅額を奉納したことから現在の寺名へと変わり、以降勅願寺として栄える。境内には「一粒万倍に釜」と呼ばれる赤錆びた大釜がある。大師が一粒の米を入れて炊いたところ、その米が万倍に増え飢えた人々を救ったとされる。ガイドブックには、恐らくこの釜は小豆粥を炊いてお遍路さんに接待したものか、あるいは飢饉の際に百姓や漁民たちに雑炊を炊き出したものではないかと書かれている。いずれも、どんな小さなものであっても万人別け隔てなく、という仏の教えによるのだろう。寺は「鯨寺」とも言われ、鯨供養のための2基の捕鯨千頭精霊供養塔と釣鐘がある。「鯨一頭とれば七浦が賑わう」とは去りし昔のこと。生涯に八千頭の鯨を射止めたという檀家が寄贈した捕鯨用具が、境内の鯨昌館に陳列されており、ちょっとした鯨博物館となっている。境内にはスダジイに寄生するヤッコソウ(奴草)が自生し、癌封じの椿霊木がある。本堂の横にある正倉院を模して作られた霊宝館には、大師が背負って旅したとされる「金銅旅檀具」をはじめ、木造阿弥陀如来坐像や板彫真言八祖像、銅造観音菩薩立像等の国指定重要文化財が収められている。寺の周辺では硯に使われる原石が取れることで有名だが、これも大師が発見されたと伝わる。この寺は、天狗退治をはじめ大師が活躍する寺伝が色々とあり実に楽しい。「室戸三山」と呼ばれた三札所もこれで打ち止め。これから太平洋に沿って西の果て足摺岬を目指すこととなる。この辺りが高知県の中でも一番南国土佐らしい海岸風景で、明るい太陽と眩しい波光がとても美しい。海岸沿いを走る際には、ちょっと脇にそれ砂浜に出てみると良い。大きな海原と人っ子一人いない海岸にきっと驚くと思う。過疎は中山間や市街地だけでなく、海辺も同じく過疎である。

御詠歌 往生に望みをかくる極楽は 月のかたむく西寺のそら

御本尊 薬師如来

真言 おん  ころころ  せんだり  まとうぎ  そわか

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