第八番札所 普明山 熊谷寺(ふみょうざん くまだにじ)
住所 阿波市土成町土成字前田185
電話 088-695-2065
距離 3.8km 標高差 +62m -7m
弘仁六年(815)弘法大師がこの地で修行していると紀州の熊野権現が現れ、一寸八分の金の観世音菩薩像を「末世の衆生を永く済度せよ」と言い授け、虚空を去っていった。大師はその場で堂を建て、霊木に自ら一刀三礼して千手観音像を彫造し、胎内に金の尊像を納め本尊とする。元禄二年(1689)の寂本著「四國禮霊場記」には「境内は清幽で谷が深く、水は涼しく、南海が一望できる。千手観音像の髪の中には百二十六粒の仏舎利が納められてある」とあり、当時の様子がうかがえる。江戸時代には幾度かの火災があったが、昭和2年の火災では本堂とともに弘法大師作のご本尊も焼失する。その後太平洋戦争を挟んで再建、現在に至る。和様と唐様の折衷様式の仁王門は高さ13mの二重門で、四国霊場の中では最大級を誇る。貞享四年(1687)に建立されたもので、徳島県を代表する近世寺院建築である。二層目の天井や柱には極彩色の天女の姿が描かれており、門は田園の一本道にずっしりと構える。参道左手にある多宝塔も高さ18mで、こちらも四国霊場最大級。胎蔵界の大日如来像を中心に、四方に如来像が安置されている。建立は安永三年(1774)と比較的新しいが、江戸時代に建てられた多宝塔は全国でも少なく貴重である。鐘楼は楼上に登って撞く形式で現在は袴腰付きであるが、これは近年の補修の際に付けられたもので、かつては四本の角柱が露出していた。参道から三十三段の女厄除け石段を登ると本堂が、更に四十二段の男厄除け石段を登ると大師堂がある。熊谷寺は桜の名所として知られており、阿波徳島藩主も花見に来たほど。時季が合えば、お寺の入り口で満開の蜂須賀桜が迎えてくれる。
御詠歌 たきぎとり水熊谷の寺に来て 難行するも後の世のため
御本尊 先手観世音菩薩
御真言 おん ばざら たらま きりく